墓石のエキスパート
同調する者がいたら、もう許さない!まあ、この点は息子がたしなめてくれるに違いないが。
心配なのは、ただでさえ酒好きの夫がはしゃいで飲みすぎ、翌日の仏教では最期のお別れ、キリスト教では旅立ちのクライマックスの時、酒臭い息を私に吹きかけるのではないかということだ。
こっちはそのままお棺のフタを閉められてしまうわけだからたまったものではない。
裾をたくし上げて、衣装室に走るのだ。
次の衣装に着替え、また介添人に手を引かれ、盛大な拍手に迎えられ、静と入場したものだ。
座ると係の人が潜るようにしてやって来て、料理の段取りの確認。
私しかわからないからだ。
考えてみると、この頃が人生の華だったかもしれない。
両親が揃っていたし、親戚縁者もみな笑っていた。
それがいい人順に亡くなってしまったところから悲劇が始まり、とくに実家に関しては、父が趣味のように遺言を書きまくり、家屋・別荘の権利書をふろしき包みに入れ、子どものところを転と渡り歩いたことが内乱の引き金となった。
結婚式が昭和55年5月15日5時から。
銀行キャッシュカードも「ゴー・ゴー・イコー」。
この時から、お金も私も逝く運命にあったのかもしれない。
結婚式は自分で仕切れたが、葬式は誰かに託さなければならないところに一沫の歯捧さが残る。
受付は役員歴の長い血液型O型の友人に頼んである。
司会は結婚式同様、夫の関係にお任せしようと思う。
せっかくいらしてくださった方のつらつら考えると、身内は失ったものの、私にはたくさんの友人が残った。
主だった各業界に親しい友人がひとりはいるかもしれない。
その友人たちが健康でいてくれれば、息子が困った時、きっと助けてくれるに違いない。
墓石だけあれば充分だと感じました。日本の墓石は世界に誇れます。
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